■□■ イヌワシの1年 ■□■

 イヌワシは、山で生活している代表的なワシです。これまで謎につつまれていた彼らの生活は、最近の調査で少しずつ明らかになってきました。彼らはどのような1年を過ごしているのでしょうか。ふつう野鳥たちは餌の多い暖かい季節に子育てをしますが、イヌワシの夫婦は子育ての期間が長いため、寒さの厳しい冬に巣造りをしたり卵を温めたりします。ここでは、1年をとおしてイヌワシがどんな生活をしているかを紹介します。

求愛期
求愛期
秋の終わり頃から、なわばりの中で求愛飛翔が盛んになります。夫婦の絆を確かめあったところで、お気に入りの場所で交尾をします。

造巣期
造巣期
12月ごろから谷の断崖にある岩棚などにオスとメスが共同で巣の材料になる木の枝や草などを運びます。イヌワシは同じ巣を何年にもわたって使うことが多いようです。

子別れ期
子別れ期
巣立った若いイヌワシは、親鳥のなわばりに留まることはなく、親鳥から攻撃されて、親鳥のなわばりから追い出されます。追い出された若いイヌワシは、新天地が見つかるまで放浪の旅を続けます。
イヌワシの1年
抱卵期
抱卵期
ふつうは、メスが卵を抱いて温めます。オスは近くに止まって、周りを見張っています。時々、オスが代わりに卵を抱くこともあります。約42〜45日間卵を温め続けます。
巣外育雛期
巣外育雛期
5〜6月ごろ、雛は70〜80日間を過ごした巣を離れます。巣立ちをした雛は、しばらくは巣の近くにとどまり、親のなわばりの中で、餌をもらいながら、飛び方や狩りの練習をします。
巣立ち期
巣立ち期
ふ化してから約6週間ぐらいで、雛は羽ばたきの練習を始めます。70日ぐらいで、雛は親と同じくらいの大きさになります。
巣内育雛期
巣内育雛期
産卵された2個の卵は、2個ともふ化しますが、日本では兄弟殺しによって1羽だけ生き残ることが多いようです。
雛が誕生してから2週間ほどは、メス親が雛を抱き続けます。それを過ぎると、天気が悪い時や夜にだけ雛を抱きます。